直接撮影法 (DR) とは何か?
デジタル X 線撮影は、直接撮影法 (DR) としても知られています。DR 技術を使用して、
放射線強度をデジタル画像情報に直ちに変換できます。
露光および画像情報は同時に発生するので、ほぼリアルタイムの画像キャプチャが可能になり、
露光後数秒で画像/X 線写真がレビューできるようになります。
このようにほぼ瞬時に画像情報を得られるため、DR は唯一の正真正銘のデジタル X 線撮影方法であると
考えられています。
機器の中には完全なリアルタイム (レントゲン透視) モードを提供するものもあり、
表示速度は 1 秒あたり最大 30 枚です。DR の場合、さまざまなサイズの平面型パネル検出器が使用されており (図 8-16 で示されているように最大約 400 x 400 ㎜
(2006 年で最大))、入射放射線強度を比例するデジタル化電子信号に
変換します。
こうしたデジタル信号はコンピューターとスクリーン (端末) によって、
中間の手順を必要とすることなく、一貫した X 線撮影画像として表示されます。 通常、検出器はパネルをコントロールする
この端末にケーブルでつながれます。
DR 平面型パネルシステムにはさまざまなタイプやあり、さまざまなサプライヤーもいます。 多様な平面型パネルシステムは、
ピクセルサイズや解像度もさまざまです。 ピクセルが増えて小さくなるほど、
システムの潜在的な解像度は高くなります。
センサーの材料には、アモルファスシリコンとアモルファスセレニウムが使用されています。
センサーとして、CCD (電荷結合素子) および CMOS (相補型金属酸化膜半導体)
が適用されます。
最もよく見られる高解像度フラットパネルには、アモルファスシリコンの技術が使われています。
これは、入射した放射線を光に変換する素材です。 変換は放射線量に比例します。
変換された光は次に、シンチレータ によって比例する電気信号に変換されます。
例えば、構造化ヨウ化セシウム (CsI) フォトダイオードと統合された薄膜トランジスタ (TFT) からなるシンチレータなどです。
各画素 (ピクセル) は、ワークステーションの画面上に放射線画像を形成します。
パネル上の画素はそれぞれ正方形となっており、ピクセルピッチは通常 50 から 400 ミクロンの間で変動します。
ピクセルが小さいほど解像度は高くなります。 センサーにおける要素およびピクセルをより小さくするための開発が進んでいます。
パネルエリア全体と検出器のピクセルピッチに応じて、数百万個あまりの要素およびピクセルでパネルは構成されます。
図 9-16 は、ガラス基板の上にグラファイトカバーが付いたフラットパネル検出器のさまざまな活性層を示しています。
事実、直接撮影法は非破壊検査産業において優れた手法であると証明されていますが、制限もいくつかあります。
- フラットパネル検出器は大量生産プロセスで長期間使えますが、蓄積された放射線量に応じて寿命がある程度制限されます。 寿命は、総線量、線量率、放射線エネルギーの組み合わせによって最終的に決まります。 プレートは、低エネルギー放射線に比べ高エネルギー放射線に対する耐性が低くなります。そのため、極端な高エネルギー放射線は避ける必要があります。 最終的な寿命はその用途に左右されると言えます。
- 画素は無数に存在するため、時間と共にいくつか反応しなくなるのは「普通」のことです。コンピューター (ノートブック型) に使われているフラットパネルの画素と同じです。 反応しなくなった画素のうち、許容できないものについては、その数とパターンを製造者が明示するのが一般的です。 幸い、パネルのごく一部が故障した場合でも、直接投影法で撮影された画像の熟練解釈者であれば、本当の部品欠陥と反応が悪くなった画素を (パターン認識とパネルの既知の位置情報によって) 見分けることができます。
- フラットパネル検出器は、業界用語で「ゴースト現象」と呼ばれるメモリー効果の影響を受ける場合があります。 この現象は、露光後のシンチレーション層におけるヒステリシスによるものです。 特に数百 kV を超える高エネルギーの X 線において、画像が徐々に薄れていきます。 ヒステリシスが起こると、システムにデッドタイムが発生します。誤差の大きさは放射線エネルギーに応じて数秒から数分間にわたり、その間はパネルの再利用はできません。